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目の前には、ひたすら荒れ地が広がっている。
一木一草生えることの無い荒れ地、ここが昔集落だったと言われてもライカは信じられなかった。
ライカは光神……大主エルト・ディーワに使える婀将軍である。
大主よりとある命を受けて、この光と闇の領域の境界にやって来た。
「これが、虚魔が通った跡です」
背後からの声に、彼女は振り向いた。いつの間にかそこには漆黒のマントを羽織り、頭からフードを被った武人が立っていた。
案内役として同行しているこの人は、元々は闇の領域の住人である。
「光と闇がいがみ合う前は、二つの領域を繋ぐ宿場として賑わっていたそうですよ。……もっとも自分が物心ついた頃には、もう廃墟になっていたようですが」
「じゃあ、不幸中の幸い、だった訳ね。それにしても……」
言いながら、ライカは再び荒れ地に視線をめぐらせる。
「こんなところに、本当にいるんですか? その……大主が探してるって人は」
そう。
彼らは、とある人物の探索のため、この光と闇の境界の地に来ていた。
尋ね人の名は、カイ・ベルグ。他でもない、大主の弟に当たる存在だ。
古の闇の王べヌスが少年王月光を依代とし蘇った時、カイは先の烈将軍フェルドや婀将軍ラダ、そしてライカと同行する翡影と共にそれを封じた。
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