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 古の時代。  未だ人々と『神』と呼ばれた存在が共存していた頃。  世界は三つの存在によって保たれていた。  『光神』エルト=ディーワ。  『闇神』リグ=ベヌス。  そして『調和者』アルタミラ。  しかし、些細なすれ違いから光と闇は争い合い、べヌスはすべてを呪いながら自ら命を絶ち、アルタミラは何処かへ姿を消した。  残されたディーワの元、世界は辛うじて安定を保っていたが、かつてべヌスが治めた闇の領域を謎の災厄が襲った。  ある日忽然と森や村が消えてしまう謎の現象を、人々は虚魔(きょま)と呼び恐れたが、なす術を持たなかった。  そんな折、闇の領域で新たな王の即位式が行われることとなった。  闇の神の血を引く王子月光は、良き王となる、誰もがそう信じて疑わなかった。  けれど、悲しいかな、王子は優しすぎた。  その優しさ故に、調和者に秘めた想いを揺り動かされ、結果べヌスに魅入られ、その依代となることを受け入れた。  即位式。  真の闇の中で、べヌスに魅入られた月光は儀式を執り行っていた闇の巫女を手打ちにした上、光の領域からの使者を虜とした。  そして、光の領域への侵攻を宣言する。
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