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「なあ」
向かい側に座ると、和馬は真剣な面持ちで聞いてきた。
「お前の進学先って東京だったよな?」
「そうだけど。それがどうした?」
「家、出るのか?」
「おう、多分な」
「そっかぁ……」
なんか急にセンチメンタルになった和馬は見ていて気持ち悪い。いつもの陽気さはどこへ行ったのかと思うほどだ。
「爽太くん、ちょいとこちらに来たまえ」
「はぁ?」
和馬はテーブルに対して横を向いて正座をする。そして自分の前の床をトントンと指先で叩いた。ここに座れ、ってことだ。
いつもならこの阿呆の言うとおりにはしないのだが、今日は何やら真面目な顔をしているので仕方なく言われた通りにする。テーブルを回り込み、相手につられて正座をする。
「で、何だよ」
向かい合って座らされた理由を聞くが、和馬は俯いたまま喋らない。
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