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俺を起こしに来たこの人は智紀さん。俺の“父さん”だ。七三にぴっちり分けられた黒い髪に細身の楕円の眼鏡。いかにもインテリといった風貌だ。実際にバリバリの商社マンなのだが。今日は平日なのでワイシャツを着ているがその上から水色のエプロンをしていて、そのアンバランスさがちょっとだけ可愛く思えた。なんでこんなしっかりした人が親父と一緒にいるのか、今でも本当に不思議でならない。
ベッドサイドに置いていた黒いビッグフレームの眼鏡をかける。ボヤけて見えなかった視界がクリアになった。
「朝メシできてる。降りてきて食えよ」
「はーい」
俺には2人の父親がいる。
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