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用意されたものをすべて平らげて家を出る準備をする。ワイシャツの上にパーカーを着て、その上から学ランを着る。立春を過ぎたとはいえ2月は冬並みに寒い。つか、冬だよ。
「ふぁ~あ。朝っぱらからうるせぇんだよ」
親父が腹を掻きながら階段を降りてきた。ヨレヨレでボロボロになった灰色のスウェットにボサボサの髪の毛、放ったらかしの髭は不潔感極まりない。
「親父こそ、そのだらしなさどうにかしたらどうなんだよ。智紀さんをちょっとは見習ったら?」
「うるせぇな。早く学校行けよ」
「そんなんじゃ、愛想つかされるのも時間の問題だね……」
「んなわけねぇだろ。何年連れ添ってると思ってんだ」
「知ってるよ」
また惚気話を聞かされる前に、とっとと家を出よう。
「おーい、和馬。先行くぞー」
玄関で靴を履き、まだ朝飯を食べている和馬に声をかける。するとドタバタと慌ててやってきた。
「待って、爽太。何でお前はこう、先に行こうとするのかな?」
「お前が遅いからだよ」
「ぐぅ……」
図星を突かれて“ぐう”の音しか出ないやつはお前くらいだよ。
奥にいる両親に声をかける。
「いってきまーす」
「智紀さんゴチでしたー」
「いってらっしゃい」
これがうちの日常だ。
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