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第1話「新生」
まだ肌寒く感じても暦では春を迎えた。
秋山コウメイとメグル兄妹は二人揃って、都市化の止まった四国高知県へと引越ししていた。父親の意向で血族の居る土地へ送られた。戦闘の可能性が有る東京から遠避ける必要もあったのだ。
引っ越する先は普通の一軒家らしい。
移動中の車内、後部座席で肘を付いて外を眺めるコウメイの姿がある。彼は普通に軍人と同じ体力トレーニングを行なっており、黒いパーカーの上からでも筋肉量が伺えた。
「コウメイ君、もうすぐ着くからね」
「はい、それにしても自然が多く残っているんですね羽柴さん」
「そうだね、僕も初めて来たけど想像以上さ」
東京の軍施設から車で引越しの手伝いをしてくれている羽柴二等兵も缶コーヒーを片手に外の景色をチラチラと見ている。
コウメイの肩に頭を寄りかからせて熟睡しているメグル。コウメイはポンポンと頭を撫でるように叩くが彼女は少しコウメイの服の袖を引っ張る位の反応しかしなかった。
「まだ寝かしておいてあげよう。気持ち良さそうだ」
「んーそうですね」
車のエンジン音を子守唄にメグルは未だに夢の中。
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