予想外の事態

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「分かったよ。お前の頼みだ」 「ありがとう、おばあちゃん。お父さんたちには黙っていてね」 「もちろんだ。心配かけたくないんだろう」 「今日中に頼むよ。明日の午前中には返さないといけないんだ」 「分かった。今から、振込に行くよ」 電話を切ると、騙した男はニヤリと笑った。 「これでまた懐が潤う。詐欺が多くなったと宣伝したところで、老人はこうも簡単に俺のことを孫だと信じる」 男は涼しいクーラーの効いた部屋で、テレビを見ながらいくらか時間を過ごした。 時々、ネット口座で通帳を確認するが入金はまだだった。 「相変わらず老人は遅い」 また時間を潰して、残高を見たが増えていない。 男はしびれを切らした。
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