一 燕雀鴻鵠 -

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低い音と高い音が不協和音を奏でて、僕の体を板挟みにする。 それはまるで、この世の矛盾と不平等さ、僕らに対する軽蔑をごちゃまぜにして、下手な歌手が歌い上げたみたいな悲鳴だ。 僕らよりも遥かにでかい二足歩行の生き物が、今日も僕らの生活を邪魔する。 彼らが操作しているのであろう、 いかにも体に悪そうなものを排出して、大きな騒音を立てながら走り、 見上げきることが出来ないほど大きいそれに、 少し興味を示しただけじゃないか。 不協和音が聞こえた時にはもう遅かった。 黒く冷たい、硬くて大きなそれが、 僕を丸ごと飲み込んで、僕の世界ごとその色に染めた。
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