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気がつけば僕は、見知らぬ神社にいた。
緑が空の青を覆い隠す程に生い茂っていて、なのに妙に明るかった。
僕が目を覚ましたのは、誰かの体温を感じたからである。
僕らを軽蔑しているはずの二足歩行の生物が、僕を抱きしめていたのだ。
こいつから微かに、僕の大好きな小さい丸い粒の香ばしい匂いがしてくる。
彼らのオス特有の匂いがせず、微かに甘い香りがする。
恐らくこいつはメスであろう。
僕はもう体も弱っていて、抵抗することも出来ない。
煮るなり焼くなり好きにしてくれと思い、
まな板の上の鯉のようになり、深い眠りにつこうとしていた。
すると、上から突然、暖かくて優しい雫が僕の体に落ちてきた。
また1滴、
また1滴、また2滴。
仕舞いには雨のように沢山降ってきて、
でもその雫が僕の体に触れるのが心地よくて、
自然と僕も同じものを流していた。
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