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「うだる様な暑さって、こう言う事を言うのね…。」
誰も居ない教室で私は一人呟く。もう夕方近くだと言うのに、
気温が変わったとはまるで感じられない。
それでもきっと朝よりは暑くないのだろう。
「でも、暑い事には変わりない…。」
自分の席に座り、机の上で項垂れながら意味のない呟きを繰り返す。
誰も居ないからと教室の窓を全て開けてもみたが。今の所私が疲れただけだ。
もう呟くのもだるくなってきた頃。誰かの足音が近付いて来る。
その足音は教室を素通りせず、中に入って来た。そして。
「ん?五十嵐?」
声を聞いた瞬間。茹だっていた私の思考が一瞬で吹き飛ぶ。
私は出来るだけ落ち着いて。落ち着いて顔を上げ。
「なんだ、やっぱり五十嵐か。」
上げた視線の先には、脇に書類かなにかを抱えた先生が居た。
「なんだってなに。」
「ああいや、深い意味はないんだ。ごめん。」
先生は見た目の気弱そうな様から、本当に気が弱いのか直ぐに謝る。
別に謝って欲しかった訳でも怒ってる訳でもないのだけど、
私は何も言わない。
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