エピローグ

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 圭はプロバスケ選手を目指してバスケを続けていた。となりにはいつも美琴ちゃんがいて。  ふたりはとても仲が良くて、大学内では知らない人がいない目を引くカップルになった。一途な美琴ちゃんの恋は成就して、圭も美琴ちゃんを本当に大切にしていて、私達はみんなふたりの夢が叶う事を信じて応援していた。プロになった圭とその隣で微笑む美琴ちゃん。……でも、現実はとても残酷で。  靭帯を損傷したのだと美琴ちゃんは言った。大学3年の冬。復帰には1年近くかかる。ほぼ断裂に近かった大怪我で、リハビリしても完璧に治る保証はない。  圭はとても悩んでいた。私にも連絡が来て、教育実習について詳しく訊かれた。その時圭は言ったのよ。 「現実的に生きていく時が、来たみたいだ。そうじゃなきゃ好きな女の子も守れない。相手が変わっちゃったのは予定外だったけど、俺はやっぱり好きな子を守れる男でいたいから」 「そうね」と私は言った。この強い強い幼なじみの男の子。いいえ、もう『男の人』だわ。圭は教師になって、今年配属されたのが……。  なんと私とおんなじ高校。私達は同僚になった。どこまでも根深い腐れ縁。学校で見かける相変わらずの長身に、私はなんだかおかしくなってしまうんだけど。  圭は職員室で美琴ちゃんの手作りのお弁当を食べている。周りがびっくりする大きなお弁当箱。私が遼に作っているお弁当箱と同じくらいある。だって、ふたりはおんなじ身長。食べる量も、ほんとにそっくりなんだもの。  生徒にモテまくる圭の事を、美琴ちゃんは「見張っておいてね」なんて言う。大丈夫よ。ふたりはもうすぐ結婚する。随分早い結婚だけど、「そうしなきゃ美琴が安心しないから」って、圭は、本当に優しい旦那様になるに違いないわ。  佑果の左手の薬指にも綺麗なリングが輝いている。籍はまだ入れないけど、お店が軌道に乗ったらそうするんだと言っていた。その前に圭と美琴ちゃんの結婚式の二次会があるわ。もちろんこの店で。私達はみんなが集まって、思い出話に花を咲かせて……。
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