第1話

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 私達3人組は『岸田家』と呼ばれている。  それは3人が並ぶと、まるで親子みたいに見えるから。  左に男子の中でも一番高身長の(けい)。右に女の子にしてはとても背が高い佑果(ゆうか)。そして真ん中にちびな私。お父さんにお母さんに子供。そして圭と佑果は本当の親みたいに私を心配するの。私はもう16歳になったっていうのに。  『岸田』は圭の苗字。まるで動物園にでも向かう子供連れみたい、なんて揶揄されながらも、私達ずっと3人で仲良く過ごしてきた。  高2の春、思い続けていたあの人が帰ってくるまで。あんなに大好きで憧れ続けた、ずっと年上の『お兄ちゃん』。  急に現れたその存在が、私達の『岸田家』を簡単にばらばらにしてしまうだなんて、思いもよらなかったけれど――。
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