第2話

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 軽々と持ち上げられてしまう私。抵抗しようにも体格差でどうにもならない。そのまま廊下を進む私達は往来の笑いのまとで、佑果がそんな周りに手を振りながらこんな事を言うの。 「もうあきらめなさい鈴菜。あたし達がバカみたいにデカいから、目立っちゃって申し訳ないけど。『岸田家』トリオはもう学校の風物詩。鈴菜が抱っこされてたって、誰も驚いたりなんかしないわ。逆に『ヘイタクシー』って使ってやればいいのよ。このムダにでっかい男、体力があり余ってるんだから」 「『ムダにでっかい』ってなんだよ佑果ー。俺の背はダンクを決めるためにあるんだぜ。決してムダではない! お前だってこっそりダンクの練習してんだろが。全然届かねーくせによ」 「……なっ……! あんた見てたの!? 秘密練習のぞくだなんてこのエロ男! そのうち出来るようになるんですっ! 圭に出来てあたしに出来ないはずないわ! ガンガンダンク決めまくって、次の大会の得点王になってやるんだから……!」 「あーあーそーですか。まあちっこい背で頑張りたまえ170センチ台。……ほい、着いたぞ鈴菜。ここがうちの教室『203』。まだ帰りのホームルームするってさ……」  周りに笑われながら言い合いをして、圭は到着した教室で私を降ろすべく身体を傾ける。……その前に、なぜか一度ぎゅっと私を抱きしめて。いつもそう。降ろす前に一度私をきつく抱きしめる。バランスをとるため? よく分からないけど、苦しいぐらいに抱かれてから、ゆっくり私は地上に降りて……。  きゃああ、という教室の女の子の声。人気者の圭が、私をお姫様だっこしている事への驚き……羨望……言いたくないけど、やっかみ。  『岸田家』なんて呼ばれてお父さんみたいに言われている圭だけど、実際には圭の役割はお母さん。私を心配して管理して甘やかす。  それはもう物心ついた時からずっとなんだけど、もうこんなに大きくなってしまった圭が倒れた私を運んだりすると、なんだか違う意味に見えてしまうらしくてこんな声が起きる。私はそれが恥ずかしい……のに、圭自身が恥ずかしい事だと認識してくれないから困っている。『守られヒロイン』を演じているわけではないの。ああ、注目されて、また挙動不審になってしまう……。  着地した教室で、知らない顔ばかりのクラスメイトに佑果が大きな声で私を紹介してくれる。
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