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あからさまに真っ赤になってあわてる遼。私は言ってやるのよ。だって私達は、付き合ってもう2年になる。それって、普通の事なはずだから。
「美琴ちゃんに言われるの。『それって愛されてるの?』って。美琴ちゃんたら相変わらず圭とラブラブなんだから。今日子ちゃんまで『なんだかあやしい』なんて言って」
真っ赤な遼はつないだ私の手をぱっと放す。私より7歳も年上のこの人は、狼狽して額に汗をかいている。
「み、美琴って、安藤の事か……。まったくハタチそこそこが、何をそんな分かったような事を! 圭も叱ってやらんといかんな。明日呼び出して広海んとこで説教だ! 女にうつつを抜かしているようじゃ立派なプロバスケ選手にはなれないぞっつって、早速ひとつアルハラでも……」
「『アルコールハラスメント』ダメ、ゼッタイ! 圭は遼を師匠と崇めてるんだから、妙な事を吹き込まないでよね! 広海くんのお店になら、私を連れて行ってよ! そうだ、圭も美琴ちゃんも、佑果も今日子ちゃんもみんなで行きたいな。ちょっとした同窓会。楽しそう……て言うかそれはそれでいいんだけど、議題は今日の事!」
私は遼を逃がさない。往来で告白する事にはもう慣れているわ。だって私はたっぷり待った。今度こそ、本当にその意味を込めて、私は遼に言うの。
「私を『お嫁さん』にして。11年も待ったわ。もう……いいでしょう?」
40センチの上空を見つめて。遼は泣きそうな顔になる。私は目をそらさない。私達は見つめ合って……やっと遼が、口を開く。
「いいよ。でも自信ない。もう鈴菜を、家に帰せないかも知れない……」
じゃあ遼の家に住むからいいわ、と私は言う。
正式に段階を踏まないのは良くないぞ、と遼が言う。
でもはにかみあって、私達はまた手をつなぐ。 遼の部屋は歩いて5分もかからない、すぐそこ。
やっとスタートラインに立った私達。11年の恋は、今から本物の愛に変わる。
私は遼のそばを離れない。一生この人と一緒に生きていくの。
たくさんの仲間達に囲まれて、私の恋は、一生続く愛に変わっていく――。
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