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芸人の話は左耳から入り、脳を介在せずに右へと流れていく。
彼らもこんな所で仕事をしているあたり、所詮は二流、もしくは三流以下だ。芸人を目指す多くの者たちのなかで、一流になれるのなんてほんの一握り。
だが、それは何に対しても同じなのではなかろうか。結局俺は一流企業に入っても上役の機嫌を取りながら立ち回るだけの自分のことが嫌いで嫌いで。好きなことにまっすぐ向かっていこうとした息子が羨ましかっただけなのかもしれない。
あの芸人にしたって、誰にも笑ってもらえないとしても舞台に立つからには自分のネタに誇りを持って披露しているに違いないのだ。そういった者を見下げることで自己肯定しようとしていた己の器の小ささに、溜め息混じりに失笑する。
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