【気になるあの子】

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【気になるあの子】

「先生、先週のアンケート集計が終わりました」 「早かったな助かるよ。柳は仕事が早くて正確、また何かあったら頼むぞ」 「ありがとうございます、私でよければいつでもお手伝いしますから」 私はスマホをいじる手を止めてチラッと彼女-柳風花さん-を見た。 眼鏡をかけた短めの髪。彼女にとっては当然と言っていいように髪は染めていないし、ピアスも空いてない。 典型的な真面目な子。 しかし柳さんはうちのクラス委員長ではない。 委員長は別にいるけどそれはじゃんけんで負けてなった子だから先生も信用していないかもしれない。 そんな理由で仕事は真面目で丁寧で早いと三拍子そろった柳さんに任せている。 「(なんで柳さん委員長に立候補しなかったのだろう?)」 ボーっと見ていたら柳さんと目が合った。 ほんの一瞬で会釈する間もなかったけど、彼女は熱を感じさせない視線と雰囲気をいつもまとっている。 5月ももう末になったけど友達と一緒にいるところも、今の私みたいにスマホを触っているのも見たことがない。 なんだか不思議な子。柳さんにはどんな友達がいるのかな?
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