【気になるあの子】

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今月最後の日曜に体育祭がある。体育委員とは別に体育祭委員を出さないといけない。 立候補者ゼロか、私は放送部所属なのでアナウンスの仕事とかあるから立候補できない立場だし、この後の展開読める。 担任も腕組みして柳さんの方へと視線を動かしだした。 そして無駄のない動きでそっと柳さんが綺麗に手を挙げた。 「それなら立候補します。いいですか?」 クラスからは拍手が起こり体育祭委員が柳さんに決まった。 だけど大丈夫かな、担任も雑用とか普段通り頼んだりしない・・よね? 放課後、うっかり放送部の資料を忘れていた私は15分の休憩時間中教室に引き返していた。 教室にいたのは柳さんだけ。いつもの机にいくつかの資料を並べてそれらをホチキスで留めていく作業をしていた。 「お疲れ様、柳さん。それ体育祭の資料かな?」 声を書けると顔を上げることも笑顔を見せることなく視線は資料に向けたまま答えが返ってきた。 「違う。これは今度授業で使う資料。頼まれたの」 委員引き受けたのに、雑用系も任されてるままなの?私は柳さんの席の隣にある椅子を引き寄せて机に広げてある資料を手に取る。 「この4枚重ねて留めればいいんだね。オッケー任せて~」 「手伝ってなんて、一言も言ってないけど」 「どうせ今部活休憩中だし、それなら手伝いたいじゃない?」 「いい。手伝わないで」 「何遠慮しているの!クラスメイトじゃん私と柳さんは」 「っ・・・やめてってば!!」 バン!机を両手で叩いて椅子から立ち上がったのにはさすがの私も驚いた。手伝うの、そんなに邪魔になるとは。 「ご、ごめん・・ただいつも雑用任されてるから・・」 「お節介はやめて。私は少しもそんなこと・・・望んでない」 何事もなかったかのように柳さんはストンと椅子に座りプリントの束をまとめ直した。私はどうにも居心地が悪くなり部活の資料を取って教室を出ていった。
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