【歩み寄り】

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昼休みいつもならスマホを触っている私だけど今日はノートの切れ端に手紙を書いて読書中の柳さんの机にそっと置いた。 読むかな?と去り際に振り返ってみたけどそのメモは開かれることなく机に置いてあったペンケースに押し込められた。 残念。作戦失敗らしい。 これから体育祭まで私は放課後放送部の活動があり、柳さんも体育祭委員の仕事がある。 だからといって一緒に帰れるなんて思ってない。 私が何か言ってもあの熱のない雰囲気でかわされるだけだ。 「勉強したじゃん。柳さんを振り向かせるのはそう簡単ではない」 「別に告白したわけじゃないもん・・ただ一人にさせておけないんだよね、彼女」 「本人直々にお節介、て言われたでしょ。もう諦めなよ」 「私がクラスでいつも一人で雑用ばかりしていたらどうする?」 「手伝って友達になれる。だって桃ちゃん素直だし」 「素直・・うーーん。難しい・・・!」 部活が終わるとなんと昇降口で柳さんと会えた。しつこくはせず一言かけた。 「活動お疲れ。また明日ね!」 上履きからローファーに履き替えたときクラスにいる桃山さんがいてなにかまたしつこく言われるのかと思ったらあっさりした挨拶で終わって、ホッとした私がいる。 社交的でない私に桃山さんのように関わってくる子は苦手だから。 私は1人でいいと決めたんだ。 教師に信頼されて雑用でも何でもいいから頼ってもらえたらそれで合格。 友達は、友達なんて、必要ない。
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