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【心が迷子】
この短い春休みが終われば中学三年生になる。
高校受験を意識する学年になる・・・だけど。
今は受験なんかより大きなものを背負っている。
それはお母さんに再婚する相手がいて、新しく父親ができること。
新しいと言っても本当の父親の記憶は私にはないくらい昔に離婚している。
原因はギャンブル、お金だったらしいけど、重苦しそうな話のため私はお母さんに深く聞くことはなかった。
私が言ったのは『そんな父親嫌だ。別れて正解』この時、お母さんはちょっとホッとしたような顔をした。
おそらく自分の離婚という決断を私が肯定してホッとしたんだと思う。
それはいい。過去のことなんだから。今は再婚に目を向けないと。
ファストフード店で親友の奈央にぐだぐだと話を聞いてもらっている。
「おばさんは幸せで相手も悪い人じゃないんでしょ、ならあとは悠里が受け入れるしかないじゃない」
「そうだけどぉ・・」
「籍入れたんだっけ?」
「それは私の心が整ったら、て言ってくれてる」
ズズ・・・Lサイズのジュースが空っぽになった。長くここに居座っている証拠。
奈央のカップも空に近い。追加で注文しよう。財布を持って立ち上がると奈央にストップかけられた。
私なんかと話すより家族で話し合いなさい
ときっぱりと言われてしまった。
「家族が無理だから奈央に相談をしてるんじゃん」
「籍が入ってなくてももう悠里には父親がいる
小さな子じゃないんだから少しずつでも受け入れな?」
「・・・うん」
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