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だからお前、少しは静かにしろよ
――――高校生活。
それは、人生上もっとも人間の花の盛りと言っても過言でない時期である。
大人になる前の分岐点。
子供でいられる最後の期間。
高校生活を送る者たちは、その三年間で悩み、喜び、成長を遂げる。
だなんてモンは、置いといて。
そんなモノとは無縁な人間が、ここにいるわけなんですよ。
無色透明、灰色真っただ中。
非リアの中の非リア、高校生活無駄遣い中の人間が、ここに。
「おい、アオイ~、お前少しは協力とからしたらどうなん?」
入学から一週間ぐらいったったその日の昼休み。
クラスメイトや友人と談笑する空間からは一人離れて、自分の席で一人読書にいそしむ男子学生。
どんっと肩に手を回して声をかければ、透明なレンズの下から、敵意むき出しの青みがかった瞳が俺を見た。
氷室 アオイ。
家が隣同士、昔っからの腐れ縁、そんでもって俺の友人。
「おい」
一人物思いにふければ、下から聞こえてくる刺々しい声。
―――――おうおう、わかってますよ、すみませんねえ。
俺は仕方なしにアオイに回した手をすっと離す。
アオイは汚らわしいモノでも払うように、パッパと制服を手でなでた。
「いやいや、ひっどーい!そりゃないでしょう、アオちゃん」
「やめろ、その名前で呼ぶな。あと教室で話しかけてくんなよ。」
「いいじゃん?だって俺ら昔からの中だろー?マブダチじゃんかー」
「うるせえ、それは腐れ縁っつーんだよ。一度だって俺がお前を友人だと思ったことは無いね」
「またまた照れちゃって。」
――――可愛い事だ、こいつはいつもそういう風に俺を否定する。
でも俺知ってるから。そうやって照れてても、本心では俺の事友人って思ってるもんね。
うん、絶対。
俺のカンがそう言ってる。
「照れてなんかねえんだよ、気持ちりい。」
「いや、それもツンデレのアオイ君のことだからさあ、」
「で、要件はなんだよ」
あら、ぶっつり無視をされました。
ちょっと俺、もうちょっとアオイ君のことからかう予定だったんだけどー?
「教室で話しかけてくるからには、それなりの要件なんだろうな?」
まあいいか。
ともかく俺は、アオイをからかうことを止めて、事情を話すことにした。
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