ホンネ

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「1週間の予定かな?」 「北海道も暑いみたいね」 大きなボストンバッグに衣類や生活道具を詰め込みながら、彼女の目を盗んで自分の貴重品も手早く押し込んだ。 今月でちょうど付き合って三年になる。きっかけは同じ職場だった頃に親しくなり、自然と距離が近づいたからだ。一緒に暮らしてみて、価値観や将来の夢など、どこか違っていることは感じていた。ただ一緒にいることが楽で、同棲を続けてきたのだ。 高卒のオレとは違い、彼女は大学を出ている。今は都内の企業に勤めていて、まだフリーターのオレとは稼ぎも違っていたはずだ。憶測なのは、彼女の給料がいくらなのか、本当のところは知らないから。ただ、同じカフェでアルバイトをしていた頃よりも、彼女の私物がブランド物になっていたことは薄々感じていた。 それでも2人の関係は変わらなかった。一緒に夕飯を作り、食べたら後片づけをして。寝るまでは、同じ部屋でそれぞれの時間を大切にしていた。彼女が飲み会に行くときは笑顔で送り出し、深夜に帰宅しても根掘り葉掘りと詮索はしない。オレだって少しは怪しいと思うことがあるけれど、2人の微妙な関係を壊すことができなかった。 「気をつけてね!」 「うん。行ってくる!」 珍しく玄関先まで見送りに来た彼女に、オレは笑顔で最後の手を振った。
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