目覚めのハーブティー

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陽介さんにいれてもらったお茶を頂く。 陽介さんがお茶を入れている間、私はお茶菓子やティーセットを用意していたが、陽介さんはずっと心配そうにしていた。お母さんとお父さんは私に手伝いをさせていたから、自分で家事をするのは当たり前だと思っていたけど、よく考えたら私はまだ小学生だ。 キッチンに立つことすら心配されるのは普通のことかもしれない。 「えっと…僕は君を引き取るつもりだったけど…君は、ここに残りたいと思うのなら、それがいいと思うよ。僕の家だって、二人暮らせるぐらいの余裕はあるけど両親がいた家に暮らしたいってのも分かるし」 迷いのある顔でお茶を飲む陽介さん。 陽介さんのいれたお茶はお母さんがいれたものと変わらないぐらい、同じ味になった。 「私は…このお家にあまり思い入れがあるわけではありません。数ヵ月前に引っ越してきたばかりですし…えっと…しゃくや…でしたっけ?人から借りているものなので、そう長く居るのもどうかと思っていたのです」 私は、この家にいたいわけではなかった。 一人で住むには広すぎる。 家事をやるだけで一日が終わってしまうから、引き取ってくれる方に一緒に住まわせてもらおうと思っていた。私は、ティーカップをおき、陽介さんを見る。 想像よりも若い人だ。お母さんより若いのかな? 「えっと…なら、僕の家に来るのが一番かなって思うんだけど、それでかまわない?」 陽介さんも私と同じ思いみたい。 「はい。よろしくお願いします、陽介さん」 私がそう言って手を差し出すと、彼も手を出して握手してくれた。 「よろしくね、明日香ちゃん。本当はもっと早く来たかったんだけど…叔母さんたちに拒まれたんだ。お前には無理だって。無理だと思うなら自分が引き取ればいいのに…」 最後らへんは愚痴のようになったが、まぁ、仕方のないことだろう。 お母さんもお父さんも親戚と交流している話は聞いたことがなかった。
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