朝食のハムエッグトースト

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授業が終わり、部活へ向かう。私が所属する部活は 『心霊現象研究部』通称、霊研だ。 霊研の部室の立て付けの悪い扉に苦戦しながら開ける。 「しつれーしまーす。こんにちはー」 間の抜けた挨拶と共に部屋に入る。部屋の壁は本棚で埋まり、一番奥にある大きな机には、校則違反ぎりぎりの赤黒い髪色をした上級生が座ってる。 「よう、明日香ちゃん。ん?明とひかりは?」 上級生は読んでいた分厚い本から目を離し、私を見る。 「二人はやることがあるって先に帰りましたよ。どうします?部長」 私が聞くと部長はにへら、と笑って 「仕方ないなぁ…今日は解散にしましょう。いつ帰ってもいいよー」 と言って本に視線を戻した。部長がやる気ないみたいなので、私も帰ろうと思う。 「では、失礼しますね、また明日」 部長はひらひらと手を振って私を送った。 家に帰ろうとしていると、ある家の前で足が止まった。普通の日本家屋。 「………いる」 その家の玄関の前、夕方に近い時間なのに、影のない小さな男の子がいた。 「お姉さん、僕が見えるの?」 私に気づいた男の子が話しかける。まだ小さい子だが、影がないのなら、幽霊なのだろう。 「うん。私は見える人だよ。なにか…あったの?」 体質なのか、いつの間にか幽霊が見えていた。おそらく、両親が亡くなったときから。 男の子は悲しそうな表情のまま家を指差し、 「僕は、この家の子なの。お母さんに、僕の事で悲しまないでって伝えてほしいの。できる?」 と言って私をまっすぐ見据えた。霊研には、ルールがある。幽霊の頼み事を受けたときは、必ず部長に連絡すること。 「わかった。でも、友達に相談してからでもいいかな?」 私があまり期待せずに言うと、 「いいよ。いつに行っても、同じだから」 と言って悲しそうな笑顔を見せた。ケータイを取り出して電話をする。 「こんにちは。明くん、相談があるけどいい?」 『明だけど…相談って…霊研関連?』 「そうだよ。幽霊の男の子がお母さんに、伝えてほしいことがあるって言ってるの。こっちにこれないかな?」 『……いや、分かった。そっちに行くよ。ひかりは使い物にならないから俺だけで行くな?』 「分かった。場所はあとで地図を送るからそれを見てね」 私はそう言って電話を切った。明が来たのは10分後ぐらいだった。
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