夢で食べたビターチョコ

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お葬式や火葬、遺品整理など、大人の力を借りて、数ヵ月掛かりすべてを終了させた。 残されたのは、二人の財産である沢山のお金と、未来への不安だった。 ご飯は、簡単なものならば自分で作れる。洗濯も、手伝っていたから多少の事はできた。アイロンはまだ苦手だけど、焦がしたりはしない。掃除も得意だ。家中、とまではいかないけれど、自分の使っている部屋ぐらいはピカピカな状態を保てる。 一人で生きていくことはできる。 でも、どうしようもなく寂しいのだ。 結局、私を引き取ると言ったはずの男性からは連絡がない。保護者になるだけで、一緒に住む気はないのだろうか。 一人でいると、悪い考えばかり浮かんでしまう。 首を振って気合いを入れ直すと、インターホンがなった。 両親がなくなってからはセールスぐらいしか来なくて、両親はいないと答えれば、すぐに帰ってくれた。 今度はどんなセールスかなと若干の不安を胸に、玄関の扉を開けた。 「どちらさまですか?」 扉の前には、黒髪の男性が立っていた。 手には、小さな紙切れを持ち、リュックを背負っている。 「あ…急な訪問で真に申し訳ないんだが…僕は、斎藤 陽介というものです。この家に、鎖辺 明日香ちゃんはいますか?」 男性は困った表情をしていた。 私は、陽介、と名乗った男性が何の用で私の家に来たのかわからなかった。
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