その四 桃太郎

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 だけど、これもそのうち、あ、大丈夫か、しかも生活が助かる、と、思い直したらしい。  「わかりました。お通ちゃんがそこまで考えているなら」  ただし、目指す相手以外に刀を振るう事は、極力避けなさいね。お通ちゃんが行く道が屍の道になっては困りますもの。  (馬に跳ねられたり、屍の道を作ったりせず、無事に播磨まで着いて見せますから)  白く乾いた畦道には、桜の花びらがぱらぱらと舞い落ちている。  次第に強くなる朝日の中で、ふっと足を止めて振り向くと、幼いころから住んでいた秋山のうちが、やけに小さく懐かしく見えた。
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