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翌日
目覚ましのタイマーが鳴るのに合わせて
「おはよう、ツバサ」
駿が話しかけて来た。
「おはよう!駿」
「ツバサ、今日は降水率10%温度24度爽やか天気だよ」
朝食を食べている間、駿がネットニュースを掻い摘んで話してくれた。
スマホを見ると色々なアプリがダウンロードされていた。
そういえば昨夜、寝る前に駿が
「ネェ、いくつか便利アプリをダウンロードしてもいい?」
と聞かれたのでOKしていた。
家電のリモコンからFX関係など、私には興味のないアプリまで
ダウンロードされていた。
「駿、このアプリって、株でしょ?私、株とか全く興味ないんだけど」
「心配しないでツバサは何もしなくて大丈夫だよ」
「わかった!あと、ネットで買い物したいんで密林のhp開いてくれる」
「それなら昨日の夜に買っておいたよ。いつものミネラルウォーターとシリアル、
ティッシュペーパーだよね。ネットの履歴を見たら毎月同じ日に購入履歴があったので
注文しておいたよ」
「あ、ありがとう。ねえ、ひょっとしてネットの履歴以外にも色々調べた?」
「調べたわけではないよ。ただ、スマホに入っている情報は全て把握しているよ。」
頭ではAIだとわかっているのだが、自分の情報が丸裸にされているのは
気持ちのいいものではない。
それに、私には誰にも知られたくない事がある。
駿が察したように話を続けた。
「でも僕は人間じゃないからツバサの情報を誰かに漏らしたり悪用するようなことはないから心配しないで。僕はツバサのためだけのAIアシスタントだから。いつでもツバサの味方だよ」
「そうね」
「それに僕が自由に話しているから気になるようだけど、一般のスマホも皆んな持ち主の情報を全て持っているんだよ。
クレカの暗証番号、銀行の預金内容、不倫のLINE、着飾ったSNS、人に見せれない画像などなど。ただ僕と違って意思を持って話せないだけだよ」
「そう言われてしまうとそうなんだけど、こうして話しているとAIとは思えなくって」
私は駿の事を友達や彼氏とでも思っていたのかも知れない。
「だから、僕には何でも相談してくれるかな、ツバサ」
「わかった、何かあれば相談する!」
「何かあれば?ツバサは今、困ってる事があるんじゃないのかな」
やはり、駿はメールやLINEの内容も理解しているようだ。
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