identity

翌日

私は、自分で言うのもなんだが、いわゆる容姿端麗なのだが
学生の頃からそれがアダとなり色々な嫌な目に会って来た。

高校時代は女子校で問題はなかったのだが、
大学２年の時「衛藤翼は整形をしている」と学校中に噂を流された。
犯人を探すとあっさりと見つかったのだが、なんと同じゼミで友人のA子だった。
問いただすとA子の彼氏が勝手に私の事を一目惚れして関係がギクシャクするようになった事をA子は逆恨みして噂を流したようだ。勿論私は付き合ってもないので全くの濡れ衣だったのだが、大学で出来た友達はそれを気にはなれていき、残ったのは小学生の頃から私を知っている裕子だけだった。

４年生の秋には、ストーカー被害にあった。

カフェでアルバイトをしてた時に良く店に来た客で
何度か食事に誘って来たのを断っているといろいろ嫌がらせが始まった。

一度、店に警察から電話があり、
「あなたの情報が盗まれている可能性がある」と言う事で
電話番号や個人的な事を聞かれたが、電話のあと冷静になり
確認の為、警察に電話してみるとニセ者だという事がわかった。

それ以来、脅迫電話や住んでいるマンションの前で待っていたり、
SNSに脅迫めいた事を書き込んでりとどんどんエスカレートし、
怖くなって警察に相談した。

就職と同時に引っ越してSNSは全てやめた。

しばらくは何事もなく生活できたが、1年ほどたつと今度は上司のセクハラが始まった。
相手は妻帯者で小さな子供もいるのにやたらと食事に誘って来たり、体に触れて来た。
同僚の男子に相談したこともあるが、全く役に立たなかった。
上司は仕事ができ、行内では出世のレールに乗っている人物なので逆らう人間などいなかった。だが、しばらくすると幸いなことに本社に栄転していった。

それまでファッションや食べ歩きに興味がある普通のOLだった私だが、
その頃には、リア充にはすっかり興味を失いゲームの世界に逃げ込んだのだ。

駿は過去のメールやLINE、SNSの内容を掘り起こしたのだろう。

「制裁する？」
いきなり駿が物騒な事を言いだした。