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「聞きたいことは色々あるんだが…あの社長の強さは」
「ねー!あーしも長いこと見てるケドマジでレベチ。極星騎士の中では特に強いコンティーでも喰らいつくのがやっとって感じだし…それこそ、魔晶獣じゃないと相手にならないのかもだね」
ステラはそう言うと、腰のポーチから瓶を一つ取り出し、中の緑色の液体を一息で飲み干した。
「っぷは…まずー!…あーしも、火力高い魔法ばっか覚えたのはいいけど魔力が少し足りなくてさ。こうして美味しくないポーションで補って、やっと支援できるっていうか…。しゃちょーのサポートも大変なんだなこれが」
「ステラ…」
珍しくしおらしいことを言うステラに声をかけようとしたアーディだったが、それは不意に聞こえた地響きに遮られる。
ステラと同時に振り返ると、倒れていたヌァザを中心に赤黒い霧が吹き出し、結晶が夥しく生えた片腕を地面に叩きつけながらゆっくりと身を起こしていた。
「…ステラ君、気を抜くな。まだこれは生きている。いや…止められないとでも言うべきか」
「や、ヤバ…!アー君すぐ逃げて!これ以上は晶気に飲まれる!」
ドス黒い晶気を立ち昇らせるヌァザが、片腕を高く突き上げながら慟哭する。呼応するように周囲から晶気の奔流が天へと舞い上がり、空が赤く変色した。離れた所にいるアーディですら、再び体調不良が起きかける。ヌァザは赤く光る目を――リヨルドやステラ、ましてやアーディですらなく――麓へと見遣ると、牙の並んだ口を開けて、奇妙なことに言葉を発しだした。
「――ハ、花の、女……殺ス……!!グオアアアア!!!『豊穣滅す我が怪腕』!!!」
技の名を叫んだかと思った次の瞬間、ヌァザのしなびた片腕が膨張。巨腕と同サイズになったかと思うと両腕ともに破裂。毛皮と肉の下からは、まるで赤熱した大剣の刃のような魔晶華が現れた。そしてリヨルドに背を向けると、俺とステラのいる方角へと駆けてきた。
「や、ヤバいヤバいヤバい!しゃちょー早く!」
ステラが『バーニングガトリング』でヌァザめがけて火球を連射するも、勢いは全く止まらない。なんとか追いついたリヨルドが抜刀斬りを放つが、その刃は魔晶華の腕で止められた。
「なんという硬さ…ぐっ!?」
返す刀でリヨルドが魔晶華の腕で殴られ、横にいたアーディと共に岩に叩きつけられた。
「がっは…!!」
「す、すまないアーディ君。不覚だった…。しかしこれはまずいことになった。奴は目的を私から…麓へと降りることに決めたようだ」
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