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「こんにちはー」
私はいつも、通学する彼らに挨拶する。庭の花のチェックをする時間が、丁度彼らが通学する時間と重なるのだ。我が家は玄関先のプランターで花を育てている。家族の趣味もあって、色は黄色が多い。私も黄色が好きだ。見ていて気分が明るくなる。
しかし、自分で着る服として、黄色は目立ちすぎてあまり好きではない。なるほど、身につけたい色が、必ずしも好きな色では限らないものらしい。
「カナさんこんにちはー」
「こんにちはー」
私の家の前を通る、彼と彼女はいつも礼儀正しい。挨拶をすればちゃんと挨拶を返してくれるので私も嬉しい。
ただ、しょうもない喧嘩が全部聞こえていることに本人達は気付いているのかいないのか。今日はどうにも、スギ、というクラスメートと彼が喧嘩をしたということらしかった。最近いつも喧嘩をしているようだ。聞いてみるとその内容は実にくだらないもの。どうやら、スギ、という少年がえな、の女の子みたいな顔をからかったらしい。そして見た目に反して喧嘩っぱやいえな、がキレたということらしかった。
――あんた達、もう中学生でしょ。もう少し落ち着いたらどうなのよ…。
私はぶっちゃけかなり呆れているが、それも仕方ないものなのかもしれないな、と思う。中学生とはいえ、男の子なんてそんなものかもしれない。女の子は成長が早いが――実際身長もみか、の方が大きい――男の子はそうではない。高校生くらいまで、小学生と感違いされるような子供も少なくないと聞いている。えなも似たようなものだろう。そして頭の中身も見た目相応ということだ。えな、は正義漢だし、年上に対してちゃんと挨拶のできる良い子だが、どうにも頭に血が上りやすいのがたまにキズである。みか、も呆れているようだった。
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