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佑は、自分が男にしか興味を持てない事を中学の頃には自覚していた。
特に戸惑いは無かった。世の中には色んな人間がいる。自分みたいに恋愛対象が男の男だっているだろうと、思春期にもかかわらず、かなり客観的に捉えていた。
かと言ってそれを大っぴらにしない程度には空気を読んでいたし、通過儀礼的男女交際も経験した。ひと月もせずに『前嶋ってつまんない』と振られたが。女の子は容赦ない。
生来のんびりした性格で、落ち着いてるとか大人だとか言われる事も多いけれど、実際は面倒臭がりで、人付き合いもあまり得意な方ではない。それでも他人を不快にしない程度に話にも乗るし笑いもする。浮きもせず沈みもしないバランス感覚だけは、大家族の中でそれなりに培われていたのかも知れない。
佑はただただ、自分好みの青少年を密かに見ている事が幸せだった。
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