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だがしかし。
今は一番見られたくない相手に見つかってしまった現実に心臓が躍っている。この特徴的な声を自分が聞き違える筈がない。内心恐る恐る振り返ると、やっぱり宗二郎だった。
「こーゆー本、男ってあんまり見なくね?イケメンばっかり」
「別に……フツーに見る。金出すのはねーちゃんだけど(嘘)」
「あ、そーか。佑ってねーちゃん居たっけ」
うまく誤魔化せたか?とホッとしつつ、久し振りに聞くこの声……やっぱいいわーマジ好きだわーとうっとりする。見慣れない私服にもドキドキする。イカンイカン。
さっさと逃げようとすると、家に来いと誘われた。このビルの高層階のマンションが自宅らしい。何とか言い訳をして逃れようとしたけれど、暇だから一緒にダウンタウンを観ようと意外にしつこく粘られ、佑は根負けした。
「24時間耐久鬼ごっことミスターベーターどっちがいい?」
「どっちでも……おまえの観たいやつ」
「じゃあ両方」
何時間拘束する気だ。
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