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「宗二郎?」
ああ、この声。この人の良さそうな口角の上がった口元、白い歯。茶色だった筈の瞳はとても直視出来ない。俺の青春。俺が初めて本気で恋した相手。
佑…………
佑だ。
「………イチゴミルク………」
「え。え、あ、あ──……うん」
「………練乳多めで………」
「そこ座ってちょっと待ってて」
ゴンゴン回る扇風機。滴る汗。塩の浮いた黒いTシャツの背中。大きな背中。
やっぱり自衛隊の訓練ってキツイのかな。高校時代よりもっと逞しくなった気がする。でもマッチョな感じじゃなく、自然に必要なだけついたであろう筋肉は、とてもしなやかで綺麗で、胸がドキドキする。
佑がそこにいる。
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