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ピンク色の氷の山越しに見える、真っ黒な男。
蘇る青春、佑に片思いした日々。
甘くて冷たい氷を口に運ばれるだけで、ズキズキと胸が痛い。アイスクリーム頭痛なんかよりずっと痛い。
「まだ掛ける?」
佑…………俺。
俺は。
宗二郎が声を出そうとすると、代わりに涙が出た。ポロポロと溢れて止まらなかった。佑は驚いていたけれど、宗二郎に何も聞かず、ただ頭をポンポンと撫でた。大きくて温かい手だった。
「俺」
「うん」
「俺……俺……!」
「うん」
「ずっと……おまえが好きだった………」
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