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宗二郎は今となってはバイセクシャルにあたるけれど、佑は生まれてこのかた男にしか興味がない。それも明確に好きになったのは宗二郎が初めてで、この先もたぶん、宗二郎以外の男と恋愛する事はないと思っている。もしも宗二郎と別れたら、一生左手だけで生きて行く事になるなー、と漠然ながらも覚悟を決めていた。 宗二郎は、最初自分が突っ込まれる事にかなりの抵抗があったけれど、佑の性癖的に逆はなく、宗二郎も同じなら違う相手を探していいとまで言われ、受け容れざるを得なかった。男女の別なく佑以外の相手なんて考えられない。かと言って清い仲のままなんてとても我慢できない。佑と体ごと繋がりたいと思ったら、ほかに選択肢がなかったからだ。 『ずっとおまえが好きだった』 そう告白した去年の夏から今年の春まで約8ヶ月、佑は本当に不満も無さげに待ち続けた。時間を使って脅迫されたに等しいと、宗二郎は未だに思う。 「久しぶりだからまた痛いかなー」 「夏が終わったら泊まりに行けるから、その時でいいけど」 「嫌だ。する」 「泊まる?」 「嫌だっ」
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