5.謎が解けても、恋の魔法は解けないわ

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 私は、アキラとは少し距離を置くことにした。すれ違った時には、軽く挨拶するくらいで、こちらから誘ったり、教室に押しかけたりしない。アキラは未だ好きだけど、あんなこと言われて、私は深く傷ついた。  どうしたら、もとに戻れるのか、わからなかった。アキラ、少しは自分の言葉に後悔しているの?ねぇ、どうなの?ベッドの横に貼ってある Char は、横顔を見せて何も語ろうとしない。「上手く行く恋なんて、恋じゃない。」と彼は歌っている。その歌をヘッドフォンで聴きながら、何度も泣いた。  クリスマスをやり過ごし、年が明けても、私はまだグズグズしていた。何とかしなきゃいけないってずっと思っていた。そうだ、ヴァレンタイン・デーがもう直ぐ。アキラにプレゼントを買おう。何にしよう。チョコレートじゃなくて喜んでくれるようなもの。  正樹さんに教えてもらって渋谷の裏通りにあるロック・グッズ屋さんで、ローリング・ストーンズのベロ・マーク(Lips and Tongue)のTシャツを買った。そして、恥ずかしくてやめようかと思ったが、思い切ってメッセージ・カードに「二番目でいいから、大切にしてね?」と書き込んだ。
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