6.私の恋は、アップ・アンド・ダウン

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6.私の恋は、アップ・アンド・ダウン

 メッセージ・カードの威力は絶大だった。プレゼントを手渡した私は、アキラの部屋に招かれ、抱きしめられ、キスされた。それは、思いもかけないことだった。どうも男子には、恋に陥るツボがあるらしい。「二番目でいいから」という健気な言葉は心から発した真実だったんだけど、それが彼のハートを射抜くとは思っていなかった。やっぱり、「バンドが一番」とあの時放った言葉を後悔していてくれたんだなぁ。良い人なんだなぁと思って、じんわりと幸福感に充たされた。  それ以降、アキラは、積極的にデートに誘ってくれて、ロックの話だけじゃなくて私の身の上話も聞いてくれるようになった。「今日は、部活の子たちと遊びに行くんだ。」って報告すると、ちょっと拗ねて、「その後でいいから会ってくれ。」と言う。どうなっちゃったんだろう。ソフトボールで譬えれば、逆転した途端に猛攻をかけられてる感じ。  それにしても、男子の独占欲って凄まじい。ずっと自分のものにしていないと我慢できないらしい。最初は私を恋してくれてのことと思ってた。でも、だんだん疎ましくなってきた。片想いの状況を思えば、贅沢な悩みなのかもしれないけど。ちょっとね。
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