8.分厚い封筒に続いて、厚紙の四角い封筒

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8.分厚い封筒に続いて、厚紙の四角い封筒

 そろそろ会いに行ってあげようかと思っていた。最初の頃の恋しい気持ちは薄れていた。むしろ、一度会って、これまでのいろんな誤解やすれ違いを修復しなければ、と思っていた。そんな或る日、アキラから手紙が送られて来た。  分厚い封筒で、見つけたお姉ちゃんが半笑いしながら、「なんか大変そうね。」と言って手渡ししてくれた。開けてみると、日記のように「何月何日 今日も君はいない。俺は一人で...」みたいに気持ちが綴られている。数十枚もある手紙で、最初の5枚くらい読んで、正直ウンザリしてしまった。私に対する気持ちは嬉しいのだけど、初めの私の片想いの頃とは完全に立場が逆転してしまった。今の私には、この種の膨大なラブレターは、少し重すぎる。運動部で育った私って、文科系男子のウダウダしたところがはっきり言って苦手だ。「好きだ。」とか「もう一度俺と付き合ってくれ。」とだけ書かれた葉書の方がよっぽど惹かれることだろう。  暫くして、今度は、四角い厚紙の封筒がアキラから届いた。開けてみると、カセットテープが入っていた。恐る恐るデッキに入れて聴いてみると、どうやらレイジーボーイが生録したテープのようだった。
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