1.ロックって面白いかも

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 Charをテレビで観て、ロックに興味を持ち始めた私。普通ならそのまま話は進まないところだけど、中学からの友達・智子が次の展開を呼び込んでくれた。  部活の無い放課後、ぼんやり廊下を歩いていると、智子が隣の教室から出てきて、「ねぇ、部室のところまで付き合って。」と言う。「何なの、急に。」と思った。文芸部の部室は二号館の地下にあった。「ほら、こっちこっち。」と彼女は、隣の教室を指さす。  窓からそうっと覗き見ると、男子が4人で何か楽しそうに話し合っている。智子によると、彼らは部活のロックバンドで、一番右がジョー、その隣が山中君だということだった。  「ジョーって、ハーフなの?」と私。  「いいえ、須藤丈太郎。ロンドン育ちなんだって。だから、ニックネームがジョー。」  「へぇ、そうなんだ。」  智子は、須藤君とお友達になりたいんだと言う。私は、陽気な感じのジョーより、隣の少し憂いに満ちた表情の山中君の方が気になった。それで、「ジョーが歌うの?」と尋ねると、「ジョーはヴォーカルとギター、山中君はギターだけど時々歌うの。」と言う。「へぇ、山中君がギターなんだ。」私は、急に嬉しくなった。
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