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結果として、私の全力疾走は、前の走者・智子を勢い余って追い越してしまいそうだった。ブラウン管の中の Char が好きなのと、実物のアキラ(山中君)が好きなのがオーバーラップしちゃって、テレビを観てもドキドキ、学校ですれ違ってもドキドキで、練習中もぼんやりしてエラーしちゃったり、トス・バッティングのワン・ツー、ワン・ツーのところを、かが・みの、なか・でー、くち・べにを、ぬり・ながら(「気絶するほど悩ましい」の歌詞)って口ずさんでたりして。恋の病って言えば可愛いい感じだけど、完全にビョーキで、いつも意味も無くそわそわしていた。
そんな或る日の夜、例によってお茶の間でテレビ観ながらゴロゴロしていたら、突然、愛しのアキラから電話があった。私は、飛び上がった。
「あのさ、今日、智子ちゃんに聞いたんだけど。」
「うん。」
「彼女、ジョーとお友達になりたいって言うじゃない。」
「そうそう、そうなのよ。」
「気兼ねせずに、もっと早く言ってくれれば、良かったのに。」
「本当? 」
私は、自分のことばかりで、智子の希望をすっかり忘れていた自分を恥じた。そっちの話、全然進めていなかった。
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