4.少しだけじゃなくて、かなり片想いなの

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 私は多くは望んでいない。アキラに嫌われないことが目標で、それがクリアできたら、週に一度くらいお話できること。その程度しか考えていなかった。本当は、手を繋いで歩きたい、今日は繋ごう、次こそ繋ごう、などと思っているうちに3か月が過ぎた。  或る日、私は、アキラたちの歌と演奏が聴きたくて仕方なくなった。ロックのアルバムと比べてどうなんだろう?生の演奏ってどんなかな?知らず知らずに、私の足は彼らの練習場所、お寺の境内に向かっていた。来て欲しいとも来てはいけないとも、言われていなかった。ジョーが真っ先に私に気づいて、バンドの皆に何か声を掛けて、ビートルズらしい歌が始まった。アキラは、少し控えめにギターを弾いていた。綺麗な音色だった。多少リズムが乱れるところもあったけど、たぶん高校生にしてはかなり上手なんだろうと思った。  曲が終わって、ジョーが私に向かって、「ヨーコのように、僕たちバンドを解散に追い込まないでね。」ってウィンクしながら言った。たぶんジョークなんだろうけど、私は意味が分からずキョトンとしていた。すると、アキラが「俺、ジョンと違って、バンドが一番だから。」と言った。どういうこと?
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