5.謎が解けても、恋の魔法は解けないわ

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5.謎が解けても、恋の魔法は解けないわ

 私は、練習を最後まで聞かずにその場を去った。ジョーとアキラの言っていたことが理解できず、なんだか不安で心に靄がかかってきた。今日中に謎解きをしないと眠れないよ。  駅前にある洋楽レコード屋のバイト・正樹さんはお姉ちゃんの彼氏で、ロックのことをいろいろ教わっている。私が事の成り行きを説明すると、「あぁ。」と言ってアルバムを探して来て店で掛けてくれた。  「そうそう、この曲。」と私が言うと、正樹さんは、その曲が「ジョンとヨーコのバラード」であること、二人が知り合った経緯(いきさつ)、一部のビートルズ・ファンの間でヨーコのせいでバンドが解散することになったという間違った噂があることを教えてくれた。つまり、ジョーは私にヨーコみたいにバンドを解散させないでよってジョークで言ったわけで、それに対してアキラは俺はヨーコ、つまり私よりもバンドが一番だと宣言したというわけ。  そこまで知って、瞼に涙が滲んで来た。アキラは、私のことなんてどうでもよくて、バンドを大切に考えてる。バンド、いやロックが相手じゃどうしようもない。私に勝ち目はない。じゃあ、なんで私とデートしてくれたの?私が強引に誘ったから?
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