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<2>何でも作ります、ツクツクボウシ~マコト~
ジィー
バチバチと散る火花。金属と金属とを接合。位置合わせは慎重に。間隙に溶接棒を突っ込んで、放電を加えていく。
よしっ
悪くないデキだ。しかし、熱いな。溶接マスクを外して、顔を上げる。
んっ?
なんだ、アミか。気づいたら隣にいる。
「やぁ、マコト」
モノ好きな少女。黒のワンピース。長い黒髪、赤いリボン。どうやら近所の小学生みたいだ。ここのところ毎日、俺の工房にやってくる。俺が作っているモノに、興味津々のようだ。
「溶接中だ。危ないから、離れていろ」
「大丈夫。気をつけているから。それより、マコトはさ。今、何を作っているの?」
「さぁね。依頼されたモノを作っているんだが。これが、何だかは分からない」
「分からないんだ」
「あぁ。メールで、図面と材料が届けられてきて。俺はただ、それを組み上げているだけだからな」
「へぇー。何が出来るか、興味ないんだ」
「ないね。俺は、モノ作りスペシャリストであって、そのモノが何になるかについては興味がない」
「ふーん。そっか」
アミがはんだごてを弄りながら、何かの電子回路を作り始めた。子供にしては、腕は悪くない。だが、邪魔だ。
「もっと離れた場所でやれ。集中できない」
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