<4>歪みゆく日常に幸せを見つけたい~ハヤト~

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<4>歪みゆく日常に幸せを見つけたい~ハヤト~

 ジリリリリィー  目覚ましの音。  ぐぬぬぅ  朝が来てしまったか。  嫌だ、嫌だ、嫌だよぉ  もっと寝ていたい。会社に行きたくない。行きたくないっ。誰か、良い転職先を紹介してくれぇ。  まだ入社数ヶ月。しかし、既にへこたれていた。指導担当であるミキさんが、非常に厳しい人なのだ。僕への当たりが、日増しに厳しくなってきている。  どうしてか理解できないが、何をしていても怒られる。  それでいて、何もしないでいると、それはそれで怒られる。  つまり、どうしようもないわけだ。  始業開始5分前。席に着くやいなや、左隣から光速の速さで言葉が飛んできた。 「遅い。ほれ、ここの取引先に連絡しておいて。工期がもっと短くなるようにプッシュ」 「分かりました」  こうして毎日、ミキさんの仕事を請け負うわけである。  電話した相手は何故か、おそろしく不機嫌。理不尽にも十分以上怒鳴られた挙げ句、プチンと電話を切られてしまった。そのことをミキさんに告げると、無言で、こちらをギロリと睨まれた。  ひぃ  恐ろしいよぉ  誰か、助けてくれぇ  だが、残念ながら、これが下請けハヤトの宿命。謝罪の言葉を連ねるより他にない。     
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