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泰明は同じクラスで、高二の同級生だ。席も隣同士で、普段から仲が良い。体付きが僕なんかよりもがっちりしていて、一見すると体育会系と思われがちだった。でも実際は生徒会の書紀を担当していて、真面目で落ち着いた優等生タイプだ。面倒見が良いせいか、何かと僕を気にかけてくれていた。
僕は心霊番組を見た日の夜は、大抵目が冴えて寝付けない。そんな寝不足の状態で学校に行くことも多かったせいか、泰明が心配して電話で寝るまで話をする事になったのだ。
もちろんそんな事をさせるのは気が引けたし、子供みたいで嫌だと最初は断った。でも泰明は引いてくれず、番組表を確認しては電話を掛けてきた。
さすがに無視するわけにもいかず、そういう関係を続けているうちに今では自分からかけるようになってしまった。
習慣づいてしまうとは恐ろしいもので、僕は今では泰明の声を聞かないと恐怖で寝付きが悪い。
『眠そうだな』
泰明の単調で低い声に次第に睡魔が襲いかかってきて、俺は夢現の状態で相槌を打ち始めていたようだ。
「……うん」
『勝手にこっちから切るから、気にせず寝ていい』
「……うん、ごめん」
しばらくは学校の話をして、最後の方は何を喋ったか覚えていない。気がついた時にはすっかりカーテンの外が白くなっていて、スマホからは何も聞こえなかった。
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