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それを思いついたのは本当に突然だった。奴と遭遇してみようと思いついたのは。早朝に、仕事先のアパートから人が出てくる。髪もぼさぼさ服もだるだるの男が。多分若干にやついて。不気味だけどまったく無い展開ではないだろう。早起きな奴なんていくらでもいるし。新聞はとっていないけど、ちょっとコンビニに行こうと思ったらばったり、みたいな感じで。単なる気まぐれだ。
それでも俺は髭を剃り、洗濯したてのTシャツに着替え、そわそわと日の出を待った。妙に興奮していた。見ず知らずの新聞配達員相手に相当な変人だ。いつも奴が来る時間は大体決まっている。少し前に玄関を出て、階段の上で待機した。お馴染みの音がやってくる。階段をゆっくりと降りる。ポストに新聞を投函する音。今だ。
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