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借りたアパートは家の裏にある駐車場を挟んで向こうに側に建っている。二階建てで上下に4部屋、合わせて8部屋のこぢんまりとしたアパートだ。
「俺の家より古いなぁ……少し傾いてるし」
築50年以上経っているアパートだ。彼方此方にガタが出てきて家賃の安さだけが取り柄といった様子の建物だ。
中里さんが借りたのは正面から見て右端の2階の部屋だ。他の部屋は埋まっているのに右端の上下2部屋だけが空いている。
取り敢えず必要な日用品を持ってアパートの部屋へと入った。
「へぇ、いいねぇ、昭和って感じだ」
玄関入って直ぐ横が台所、並んで風呂場とトイレがある。奥に畳敷きの六畳間と四畳半があり襖で仕切られているので襖を外せば十畳半の大きな部屋としても使うことが出来る。
「畳も良い感じにくたびれてるし昔泊まったことのある宿坊みたいだ」
抱えていた荷物の入った段ボール箱を奥の六畳間に置いて改めて部屋を見て回る。
「隣の四畳半に折り畳みの机を持ってこよう、良いもの書けそうだ」
作家魂が刺激された様子だ。環境を変えたのは間違いでは無いと思った。
台所で水回りを確認した後、荷物の中から紙袋を取り出した。
「一応挨拶しとくか」
住むのは1週間という短い期間だがアパートの住人を見たいという思いもあって乾麺の蕎麦を持って部屋を出た。
「どんな人が住んでるんだろうなぁ」
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