眷属という者。

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眷属、いわゆる下僕、綺麗な言い方をするなら使用人・・に対しての主人の態度もそれぞれだという。 「非常食のように側に置く者もいれば、私の母のように妹のように接する者もいる。そこも性格が出るのだろうな・・・。化け物も人も動物も、多分、根本は変わらない。長く見てきてそう思った。自分以外を大事にするものと、自分が一番大事な物、そこだろうな・・・違いは・・。」 「旦那様はどちらですか?」 「そうだな・・・。」 旦那様は少し考えて、たぶん、あまり甘い事を言うとわたくしが調子に乗ると考えられたのだろう。 「どちらでもないな・・。自分は大事だ。 だが、やっと手に入れた眷属は貴重だ。お前は私にとって良い存在となるだろう・・。」 それを聞いて、嬉しくなりました。 一度もお顔さえ見せてくれなかった父・・・あれほど可愛がっていて下さっていても病気になればそうなのだから、他人のこの人もそうかもしれないと思っていた。 でもきっと、この方は、わたくしを見捨てたりはしないのでしょうと思えた。 した約束は・・ちゃんと守って下さる、そう言う方だと思えた。 わたくしはこの方の眷属となったことを幸せに思える。 信じてついていける、そう思った日だった。 眷属になって4年目の出来事だ。 (まだまだ若かったな……。) そう思う。 父が亡くなった頃だ。 女主人として商売を始め、軌道に乗り弟もしっかりしてきて時代が早足で駆け抜けて行った気がする。 眷属としては、やはり歳をとるのはゆっくりだった。 次第に足が強い事に気付いた。 跳躍は人のそれではなかった…驚いたが、おかげで助かる事もあった。 太陽は怖いというより苦手だった。幸い、火傷もなく灰にもならなかった。 眷属の僕は人より強い力と体を頂いた。 大人しく人形の様に暮らし、病に倒れた僕にとってそれは素晴らしい体を手に入れた幸せを感じた出来事だった。
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