1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
夏の暑さが強くなる今日この頃。
夏休みだと言うのに大学受験に向けて夏期講習が行われ、アスファルトの照り返しを受けながら学校へと登校することに疲れはあるが嫌気はない。なぜなら自分の好きな人と会う時間が作れるからだ。
私が彼を好きになったのは運命的な出会いとかそういった少女漫画の様なものでは無いが、たまたま同じクラスで気が合って仲良くしてたら自分の弱さも知っている彼に気づいたら恋をしていた。ありきたりだが、私にはそれで十分だ。キャピキャピと可愛いらしい女の子を演じること無く素のままでいれる事はとても楽だった。だが、逆に友達として近くにいすぎるのでは無いかとも心配はある。
彼は私を見てくれているのだろうか。
いつか彼に思いは伝えたい。だけど、今はもう少し友達としてでもいいから近くにいたい。そんな自分の女の子らしさもある考えに少し笑いながら教室に入った。
「おう、おはよう。」彼が私に気づいて白い歯を見せながら笑顔で挨拶をしてくれる。
「おはよう! ちゃんと課題進んでる?」
彼と朝から話せたことに喜びを感じながら私達はたわいもない話をした。
「課題は進んでるけど、息抜きもしないとやっていけないくらいの暑さに滅入ってるよ。」 彼のいう言葉に私も頷く。
今年の暑さは例年より酷く、既に35℃超えは当たり前だ。
「教室も冷房があまり聞いてないから集中キレそうだね。 お昼になったら購買にアイス買いに行かない?」
教室は冷房が行き届かずに生暖かく、薄らと汗が浮かぶ。女性よりも体温が高い男性の彼の首筋にはツゥーっと汗が伝っていてジンワリと漂う彼の香りに思わず顔に熱を帯びそうになり、手で扇ぎながら彼と少しでも一緒にいれる口実を作った。
「いいな。 俺、バニラのアイスが食べたい!」 自分の食べたいアイスを希望したあと、奢って と可愛く言った彼に いいよ と即答しそうになり、グッと口を瞑った。
「もー、自分で買いなさいよ!」 友人としてはこの距離が、この返答が良いのだろう。
授業が始まったので自分の席へと戻り、短い休み時間は前の授業の課題を進めながら
お昼を楽しみにしていた。
最初のコメントを投稿しよう!