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外にいたせいか図書館はとても冷えて感じたが、勉強に集中しやすい気温へと徐々に体が慣れてきて普段よりも課題がよく進んだ。チャイムがなったのでカバンを持って教室へと私は向かった。
先程のベンチ前を通ろうとすると彼が見えたので名前を呼ぼうとしたがやめた。いや、声が出なかった。彼は他の私の知らない女の子と話をしていたのだ。
私は急いで踵を返して靴を履いて走った。
汗が滴り落ちるのも気にせず、アスファルトの不快な照り返しの事も考えずただただ走った。
知らない女の子と話していた彼は私が普段みている笑顔とは全く別の顔をしていた。そこで気づいてしまったのだ、彼は私では無く他の...あの子を視ていたということに。自分は友人としか見られていないという事を思い知った。
だったらなぜこんなにも優しくしたのか
なぜ私にいつも笑顔を向けるのか
なんで一緒にアイスを食べてくれたのか
奢ったり、じゃれあったり
なのになんで私を視てくれないのだ
頭の中で彼に文句を言っても、結果、私は彼の事が好きで好きで仕方がないという事を知った。
それでもどうしようもない私はただ走り、私を上から見ている雲ひとつない空と後から照らす太陽に目を瞑りながら叫んだ。
「あ゛ぁー!クソ暑い!」
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