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「ブレイカーズっていう事は、他にも仲間がいるのかしら?」
「いえ、自分一人っす」
「確かに、友達とか少なそうな感じするね」
「えっ」
幾多の最強の敵からの攻撃には耐えてきたが、この一言でメンタルな耐久度が一気に半分削られた。確かに、勇者としてはちやほやされたが、友人と呼べる者は一人もいない。 学校にいた時もそうだった。そこそこなステータスで特に目立つことは無く、イジられてもウケの良い反応も出来ず孤立。とりあえずな学園生活を過ごして、小声で挨拶をする何人かとしか接触していなかった。
「異世界デビューで勇者になった感じだね、タナカ・リョウタくん」
「な、なんで、本名を」
「でも、ここは異世界じゃなくて陸続きの地域なのよ」
「え、そ、そう、なんですか?」
「君みたいな子、時々くるのよ。最強だとか神だとか言って」
「ぼく、俺、みたいなヤツ……」
「先々月にもツンツン頭の君のような服を着た子がやって来て」
「うおおおおっ!」
「あぁ、やっぱり」
ベリベルは、困った様子で間合いを取って後ろをチラリと振り返る。ほとんど布の服だけの装備で、茫然と立ち尽くすひょろりとした少年。ただ茫然と空を見上げている。彼こそは、拒絶の壁の向こう側に居を構える拒絶王ガレイル・ガラリア・ガルガレイオ通称ガレ、である。
「はい、リョウタくんの目的は、この方、ガレ様でしょ」
「コイツが? 凶悪で最悪で邪悪な狂王?」
肩パットに少々の金属でデコレートされた制服の少年にコイツ呼ばわれされるのも仕方ない。通気性の良い麻のだらんとした服に、足元はスリッパさえ履いていない。武器らしい武器どころか、手には小石一つ持っていない。
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